認知症ってどんな病気?
- 認知症とは、いったん獲得した知性や認知機能が失われる疾患の総称です。
認知症あるいは類似の症状をきたすものとして、下記が挙げられます。 - 神経変性疾患
(アルツハイマー型認知症、レビー小体型認知症、前頭側頭型認知症、ハンチントン舞踏病、脊髄小脳変性症) - 脳血管性疾患
(脳血管性認知症) - 感染性疾患
(進行麻痺、脳炎、髄膜炎、クロイツフェルト ヤコブ病、エイズ脳症) - 内分泌、代謝性疾患
(甲状腺機能低下症、ビタミンB1欠乏症) - 中毒性疾患
(アルコール中毒、各種薬物) - その他
(正常圧水頭症、せん妄、うつ病)
認知症、せん妄、うつ病との関係は?
認知症
(初期)せん妄 うつ病 発症 ゆっくり 急激 ゆっくりの場合が多い 1日の経過 安定している場合が多い 変化し夜間に悪化 あまり変化しない 持続期間 ずっと 数時間から数週間 数週間から数ヶ月間 初発症状 記銘力低下が多い 幻覚 妄想 興奮 抑うつ症状 心気症状 意識状態 清明 低下 変動 清明 注意力 正常 全般的に混乱 変動は少ないが低下 認知力 全般的にゆっくりと低下 全般的に混乱 あまり変化しない 気分 抑うつ的なこともある 変動が激しい 一貫して抑うつ的 幻覚 ないことが多い 幻視、幻聴多い ないことが多い 妄想 ないことが多い 了解困難 微小妄想 心気妄想 見当職 時間、場所、人物の順に障害
(アルツハイマー型)
または不規則に障害
(脳血管性)いっせいに障害 あまり変化はない
認知症の分類と識別は?
- 【アルツハイマー型認知症やレビー小体型認知症の特徴】
アルツハイマー型認知症は側頭葉内側面から病気におかされてきますが、記銘力障害が最初に起こる症状です。
レビー小体型認知症は後頭葉の機能が低下することが知られていて、このため視覚情報が混乱して幻視を起こすと考えられています。
前頭側頭型認知症は前頭葉と側頭葉が病気におかされますが、そのために脱抑制といった一見わがままになったような振る舞いを見せます。 - 【脳血管性認知症の特徴】
脳血管性認知症は、アルツハイマー型認知症などとは病気のメカニズムが異なり、 血管が傷害された部位の神経細胞に栄養や酸素が送られなくなるといった問題により症状が現れるので、 障害の起こった部位によって症状は異なります。 - 【認知症のように見えるその他の治療可能な病気】
上記とは別に内分泌、代謝性疾患である甲状腺機能低下症とビタミンB1欠乏症などは症状が認知症にみえることがありますが、 血液検査にて鑑別でき、不足した成分を補充することにより改善が期待できます。
また正常圧水頭症もシャント術といった外科手術で症状の改善が期待できます。
アクティブエイジングという考え
- 脳機能を活性化するためには適度な運動、健全な食生活などが望ましいとされています。
また精神的な意味でも充実した日常生活をすごすことが望ましいとされています。
そこで「老年期を生き生きと生きる」と言った意味で、アクティブエイジングといった考え方が提唱されています。
お年寄りのメンタルヘルス向上のためには、お年寄りを「すでにリタイアした者」と見るのではなく、 豊富な経験と知恵を備えた先輩として敬い、お年寄りが生きがいをもって生活できるように、 家族と地域社会が協力し合ってゆくことが大切です。